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若者の姿

電車に乗っていたら、男子高校生が夏目漱石の 『こころ』 を読んでいた。 課題図書なのかもしれないけれど、イヤイヤ読んでいるといったふうでもない。 野球部らしいスポーツバッグを足元に置き、長すぎる手足を窮屈そうにちぢめながら一心にページをめくっていて、見ていた私はなんだか嬉しくなってしまった。 おばさんっぽい物言いだとは思うけれど、若い子がちゃんとした本を読んでいる姿というのは、とてもいい光景だ――マンガや、1行1文の本じゃない、「ちゃんとした本」を。

そういえば、ツタヤに行くと、必ずといっていいほど思い出す光景がある。 もう10年くらい前の話なのだけれど、ツタヤの店内で、17~18歳くらいの男の子が近くで熱心に映画を探しているのを見たときのことだ。 ・・・その子は、黄色の (金髪、というおしゃれなものではなく) 髪の毛がツンツンに上を向いていて、でれっとしたジーンズからトランクスをはみ出させ、コンバースの靴のかかとを踏み、そして背中に龍の絵柄のスタジャンを着ていた。 いや、他人の趣味をとやかくいうつもりはないんだけど、いわゆる 「田舎のヤンキー」 典型。 

・・・当時でさえ10年は時代をお間違えではなかろうかと思わせる土浦ヤンキーの彼は、いくつものビデオのジャケット解説を丹念に読み込んだ挙句、・・・ 『レナードの朝』 を借りていった。

なんだが、ものすごーーーく嬉しくなったのをよく覚えている。


良い本や良い映画にたくさんめぐり合えるといいな、と思う。 若いうちに。 そして年をとっても。
by yumi_in_the_rye | 2006-01-14 17:50 | 記録 | Comments(0)

鋭意翻訳中  【翻訳勉強会 満員御礼 次回は募集はまたいずれ】


by yumi
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