still crazy after all these years



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結果発表

土曜日の講義、なんとか終了。
実は講義の日の午前中は固形物が喉を通らないので、水ばっかりがぶがぶ飲んで2時間喋って、その後のハイテンションで博多ラーメン食べに行った。 替え玉まで。
結果、日曜までもたれるくらいお腹いっぱい。
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今年2月(5月締切)に開催された翻訳コンテストの審査を担当しておりまして。
その結果発表と講評が、先週発売の 『通訳翻訳ジャーナル 2014年10月号』 に載りましたよん。

この課題文は、かつて私が自主的にリーディングして企画持ち込みできないか・・・という目論見で取り寄せ、読んでみて、断念していた本 (いい本なのだけれど、翻訳に対する需要があるかどうか確信が持てなかったため)。 今もリーディングのテコ入れ続行中で、何冊か読んだり書いたりしているのだけれど、そうした試みが直接的に 「持ち込み→翻訳」 にはつながらなくても、こんなふうに生きてきてくれることもある、と。 冒頭に書いた講義も、リーディングの書き方だし。

トライアルの審査は、本当にたくさんの方の訳文を拝見できて面白かったし、興味深かった。 翻訳学校や勉強会で、他の人の訳文を読むことはあるけれど、さすがに100人以上の原稿に目を通したのは初めて。 貴重な体験でした。

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8/22・23の作業記録
 案件C:授業準備。

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by yumi_in_the_rye | 2014-08-24 19:02 | 訳した本 | Comments(0)

トリックがトリックでなくなるとき

そういえばなかなかまとめられずにいたけれど、『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した物語』 は衝撃的な映画だった。

文学技法の1つに 「信頼できない語り手」 というのがある。 要するに主人公が無意識的または意識的に読者・観客をミスリーディングする叙述トリックなのだけれど、私は基本的にはいつもその可能性を排除して読む/観ることにしている。 疑ってかかるんじゃなくて、ひとまずは主人公のFirst Person Viewをまるっと信じて物語に入る。 それがだんだん危うくなってくるぞわぞわした感じや、あるいは唐突に崩されるときの衝撃。そういう、こちらの疑似アイデンティティが完全に転覆する体験が、フィクションを味わう醍醐味のひとつだと思うからだ。

もちろん、それは 「やられた!」 と舌を巻くような巧みさでやってくれなくちゃだめなわけで、「反則じゃん!」としか思わせないレベルだと反感しか抱けない。

前者の代表は、たとえばカズオ・イシグロやナボコフの作品。 イシグロの作品は映画版でも巧みに仕上がっている。

一方、これをミステリのトリックに使うとどうも陳腐に陥ることが多い。 最近観た映画では、ミラ・ジョボビッチの 『パーフェクト・ゲッタウェイ』 はB級。 キリアン・マーフィーとロバート・デニーロの 『レッド・ライト』 は、心意気は買うけれどいまひとつかなぁ・・・という印象。 反対に、このトリック成功例としては有名すぎるけど、やっぱり 『ユージュアル・サスペクツ』 は見事だった。 脳をぐんにゃりさせてくれるといえば 『メメント』 がぴかいち。 『アザーズ』 も最後までだまされた。
(少々オタク気味な例なので挙げるのはためらわれるけれど、漫画『3×3 EYS』の第二部で、「主人公が主人公じゃなかった」というのも衝撃的だったなぁ・・・あ、くしくも主人公の名前がこちらもパイだけど)

『幸せの行方...』 は、さらにこの叙述トリックを逆手にとっていて、本当にすばらしいと思った。 主人公を演じるライアン・ゴズリングは、心の奥底に強い暴力性を秘めた役柄をやらせると実に見事で、暴力ふるっていたほうが真実味があるというか、(現実世界では絶対にありえない評価なのだけれど)「暴力ふるってたほうがカッコいい」 というおそるべき俳優だ。 そのライアン・ゴズリングに主人公を演じさせ、しかも彼が暴力を振るうシーンを一度も描かない (一度、妻の髪をつかむだけ) ことによって、最後まで真相を明らかにしないにもかかわらず 「絶対こいつがやった」 と観客に信じさせる。 あれは巧い。



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8/20の作業記録
 案件A:23枚チェック。
 案件C:5枚訳す+8枚チェック。
 案件H:11枚チェック。
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で、長々と遠回りしたけれど、『ライフ・オブ・パイ』。 【以下、結構なネタバレ】
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by yumi_in_the_rye | 2014-08-21 07:57 | 観た映画 | Comments(0)

蝶がはばたくまで

大昔にテレビで断片的に観たっきりの映画 『パピヨン』 を観た。ご存じのとおり、スティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンの共演。つまりマックイーンが存命なら、まだまだ色んな映画に出てたっておかしくなかったのよね。クリント・イーストウッドに雰囲気と傾向がかぶるような気もしないでもないけど、イーストウッドよりやや甘い顔立ちだし――そういう意味ではジャッキー・チェンのほうが近いかも――作品の棲み分けは可能だったと思う。

で、『パピヨン』。
同じくマックイーン主演の 『大脱出』 とは似て非なるこの作品は、私の記憶の中ではイーストウッドの 『アルカトラズからの脱出』 に近い位置づけだった。 脱出するかしないか、どう脱出するか、という話。 どちらもノンフィクション。 どちらも主人公の執念がストーリーの軸になっている。

だけど先日特別版のDVDでこれを観て、違うかも、と思った。

映画や文学の解釈には、著者や時代の背景を考慮に入れて、そのコンテキストの中で作品を解析するやり方と、あくまで作品 「だけ」 で考察するやり方がある。 後者の場合、たとえ著者や監督が 「こういう意図があって」 みたいな正解を言っていたとしても、それは全く無視。 書かれた時代の風潮とか、監督の作風とか、そういうのも一切なし。 テクストだけで解釈の余地をめぐらせる。著者ではなくあくまで登場人物に対して心理学的アプローチで迫ったりすると、なかなか面白い見解が出てきたりする。
まぁ、ちゃんとした大学の文学研究なんかでこの解釈方法は基本的には通用しないので、創造と想像の可能性を楽しんでひねりまわすときの手法だと思っているけれど。

で、再び『パピヨン』。
これは自伝をもとにした小説が原作なので、正解はわかっている。 もちろんSFでもファンタジーでもない。 だけど原作や作者の存在をいったん無視して、完全に勝手な想像をめぐらせるとしたら――実は 『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』 と同じ構成だとは解釈できないだろうか。

つまり、パピヨンの2度目の脱走は<ネタバレ。結果的に『パイ』のネタバレにもなります。選択すれば読めます→>成功しなかった。 壁を乗り越えて脱走を図ったまでは事実で、その直前か直後に簡単につかまってしまったとしたらどうだろう。 あんなに入念に準備して決死の覚悟で臨んだのに、やすやすと頓挫して、その後あの独房に5年間も閉じ込められたんだとしたら。正気を保つのが難しい幽閉空間で、食料も光もきっと減らされて、 「あそこでつかまらなければ、今頃は」 というロールプレイを何度も繰り返していたんだとしたら。 結果的にはつかまってしまったけれど、少なくともあっけない失敗じゃなくて、それなりにいい線までは行ったという物語を作らずには耐えられなかったの<←>だとしたら。

だから、2度目の脱走の展開は、<→>彼が5年間幽閉されていたあいだに脳内で経験したこと<←>。そう解釈すると、例の不思議な先住民の存在も特に違和感はなくなる。

刑務所から逃げるか逃げないかの話じゃなくて、自分が本当に納得する物語を体験(<→>脳内体験も含めて<←>)するかしないかの話。 そしてその 「納得」 の敷居は、人によって低かったり高かったりするんだー―と、そんな映画として観るのも面白いんじゃないか、と。

こんなのもどうでしょうかね。もちろん、背景をあえて読まない勝手なひねくりまわしのお遊び解釈ですが。



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8/18の作業記録
 案件B:読んでる。
 案件H:8枚訳す。
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by yumi_in_the_rye | 2014-08-19 16:03 | 観た映画 | Comments(0)


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