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新しい立体感

そういえば少し前だけど 『ゼロ・グラビティ』 を観た。

3Dというものが登場してからずいぶん長いこと、その特長は 「飛び出してくる」 もの だと認識されてきた。 映画の趣向としては、いきなり目の前に迫って来て驚かせる、まぁコケ脅し的な使い方ばっかりだったと思う。 で、『アバター』 あたり から、むしろ3Dによって 「深さ」 や 「奥行き」 のほうが表現されるようになって、スクリーンから何かが出てくるというより、こちらがスクリーンの奥へ落ち 込んでいくような臨場感が体感できるようになった。

無重力状態に投げ出される恐怖を描いた 『ゼロ・グラビティ』 は、重力がないゆえに飛び 出すでも落ちるでもない、全く新しい感覚を味わわせるという新境地に成功している。 しかも、「目の前に飛び出してくる」 「自分が落ち込む・吸い込まれる」 ならば現実に体験することもありえるけれど、無重力状態を一般人が体験することは皆無といってもいい (身動きが自由にならない様子は、ダイビングの感覚に少し似ている気がしたけど)。 つまり、リアルかどうかは本当はわからないことをリ アルに感じたと思わせる、という、これは実に野心的な試みに成功した映画だ。

個人的にはストーリーは物足りない。 話に深みを持たせるためには、主人公が地上にいたときの場面 (特に娘とのかかわりを示す何らかの布石) と、足元を印象づける絵が絶対に必要だったと思う。 彼女はあきらめて 死を待つ気持ちになるほうがむしろ自然なのだ、と思わせるトリガーがもう少し必要だった。
だけど逆説的ながら、そうした場面を入れていたら、この映画は絶対に冗長で 「ふつう」 な作品になっていたに違いない。 そうなってしまば、この作品はもはや二流だ。 だから前後を大胆に切り捨てて、見せたい絵だけにあえて絞りこんだのは賢い戦略だと思う。

この映画のサンドラ・ブロック、ちょっとヒラリー・スワンクに似てる気がするのは、この作品の絵がヒラリー主演の 『ザ・コア』 と少しばかり似ているせいかも(クオリティは全然違うけど)。 サンドラ、思うようにならない乗り物に苦戦させられるパターンは20年ぶりの再来。 乗り物がバスから宇宙船に進歩したあいだに、彼女もいい感じに若さで勝負しない役者になった。


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 2/28の作業記録
  案件D:28枚訳す。
 
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by yumi_in_the_rye | 2014-03-01 23:10 | 観た映画 | Comments(0)

鋭意翻訳中  【翻訳勉強会 満員御礼 次回は募集はまたいずれ】


by yumi
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