still crazy after all these years



2013年に観た映画

今年観た映画は100本いかなかったなぁ、と思っていたのだけれど、途中で自己カウントを間違えていたらしく、数えなおしたら100本越えてた。
たくさん仕事をして、たくさん映画を観られたなら、それは私にとって良い1年の条件を充分に満たしてる。来年も楽しめますように。



1 『猿の惑星:創世記』
細かいところで辻褄がとれているのはいいと思うけど、個人的な好みとしては、猿に表情がありすぎるのがかえって興をそぐ。PJ版『キングコング』の表情の奥深さのほうが好きだった。

2 『インビクタス』
完全に「モーガン・フリーマンの」じゃなく「マンデラの」として観てしまった。人々に力を与えるために、誰かが力を尽くしているさまを見せる、それが何より雄弁なenlighteningである、というのがよくわかる。だからって五輪の東京招致がそれになれるとは限らないと思うんだけど。

3 『死ぬまでにしたい10のこと』
彼女は、悲しいよりもさびしいよりも、きっと怒りを感じたのだ。人生の不平等に。不条理に。でも怒りを怒りとして吐きだすほうが辛いことがある。別な形にしなければ受け止めきれないことがある。たとえば、愛情に変えるか、愛情を変えるか。

4 『ジェーン・エア』(2012年)
ミア・ワシコウスカが私のジェーン・エアのイメージにぴったり。魅力的すぎない(見た目も性格も)ところがいい。マイケル・ファスベンダーのエドワードも納得。でも、作品としては重厚さに欠ける気が…昔の白黒で見たときほどの衝撃はなかったかも。

5 『シングルマン』
ずるい、こんなきれいに撮っちゃ。ずるいずるい、こんな美しく終わっちゃ。耽美と一抹の滑稽を絶妙に混ぜた悲しい映画。コリン・ファースの魅力もさることながら、『アバウト・ア・ボーイ』のニット帽の坊主が成宮君そっくりのイケメンになっていて驚愕。

6 『人生はビギナーズ』
嫌いじゃないけど、主人公がそこまで人生を恐れる必然性が見えてこない。誰もが持つ普遍的な寂しさと解釈するには、イレギュラーな要素を強調しすぎ。あとタイトルがひどい。こういうのこそ「○○までにしたい○のこと」とか「○する人」的な邦題をひねり出せばいいのに。

7 『人生、ここにあり!』
「2時間の映画で、50分でこんなに幸せそうなんだから、このあと悲しい展開になるんだろうな」・・・と思いながら観てしまう私は理想的な観客とは言えないかも。この映画、もっと手厳しくシビアにえぐく描くこともできただろうけれど、いい意味で御伽話に収めている。

8 『市民ケーン』

9 『シャドウ・グレイブ』
ダニー・ボイル監督は昔から痛いシーンを容赦なく痛く描写するのが得意だったのね。作品としては、全体的にもう少し尺短めで疾走感ある撮り方にしたほうがいいと思うけど、ダレるかな、と思うタイミングで何か起こしてひきつけ続ける腕はさすが。ユアンの長髪が変。

10 『趣味の問題』
仮にハリウッド映画であれば、色んな意味でもっと扇情的なシーンを入れたかもしれないけれど、それがないぶん、観ている者も一緒に彼に振りまわされている気分になるのが興味深い。これ、舞台でやるのも面白いかもしれない。

11 『シルヴィア』
とてもいい、とても好きな映画だと思ったけど、観終わってげんなり。どちらかといえばシルヴィア側の私としては、本人にとってどうしようもなく抑えられない衝動が、周囲から見ればなんて明快で単純なのだろう、ということにショックを受ける。グウィネス素晴らしい。

12 『真珠の耳飾りの少女』
魅力的な題材+ぴったりの役者(スカヨハ)なのに、なぜこんなぼんやりした凡庸な作品になる? 無駄な情報が多い、というか見せたものをきちんと拾わないし、話の流れがすごく雑。名作にできた映画かもしれないのにもったいない。コリン・ファース、長髪似合わないし…。

13 『幸せのちから』
仕事の資料でなきゃ観ないタイプの映画だし、貧しさにからめとられる恐怖感が見えてこなくて物足りないけど、最後の会議室から雑踏へ流れる主人公の表情は本当によかった。でも、これを観ると『ベストキッド』のジェイデン君はすっかり巧くなって「しまった」な、と思う。

14 『スライディング・ドア』
どたばたコメディだとタカくくってたら予想以上に良作。人生の岐路から2種類の未来を描きつつ「こちらが正解」としないのが素晴らしい。高みの見物なら比較もできるけど、本人にとっては結局1つだ。グウィネスが『メリーに首ったけ』のキャメロンのようにかわいい。

15 『崖っぷちの男』
これ、ハードボイルドに撮れば、それなりに締まった作品になるのに。演技力がない役者にはもっとアクションさせなきゃ…。身動きのとれない緊迫感では『127時間』のほうがずっとリアリティがある。『127時間』のほうが体験する可能性は絶対に低いのに、おかしな感想だけど。

16 『トータル・リコール』(リメイク)
オリジナルに適うわけないと思ってるので、逆に好印象。これを前知識なしで観る人は「色んな映画のパクりじゃん」と思うのかな。SFの近未来で根本的な「予想外」を見せることはどんどん難しくなっている。模倣は簡単。コペ転的なサプライズはなかなか出てこない。

17 『推理作家ポー 最期の5日間』
大作家を持ち出して、なんともまぁ奥行きの薄い作品に仕上げちゃったことか。素直に彼の小説の映画化をすれば、きっとすごくダークで極上の作品ができるのに・・・お腹切られる場面だけは確かに怖かったけど。

18 『ストレイト・ストーリー』
ただの心温まる系かと勘違いしそうな作りの中に、ときおり垣間見える「狂い」にぐっと来る。語弊のある表現なのだけれど、たとえて言うなら、極彩色のユニークな色使いをする画家が色盲だと後から知ったような印象。奇をてらって変な色にしているのではなく、これは彼が見たままの世界を素直に描いたのだ、と。ひねりではなく直球。その絵を見るなら、あれこれ解釈をつけようとせず、そのまま美しく受け止めればいいのだ。だとすれば、D・リンチがいつも描くアレな世界も、むしろ直球であり日常の表象にすぎないのかも。だとすれば、観る者はリンチ作品に意図や仕掛けを探ろうとするよりも、もっと直球で受け止めればいいのかも。リンチに対する印象が変わった、いい作品。だからといってあんまり彼の作品を観たい気にはならないのだけれど。

19 『セント・オブ・ウーマン』
パチーノは常に「本当は悲しい」「本当は愛しい」を、それを決して言わずにありありと伝えられる役者だ。ここぞというときに「本当に」を言って、観る者をダイレクトに刺す。目の演技はもちろん声の響きまで自在に操る、ああいう男に誰が惚れずにいられるだろう。

20 『エクスペンダブルズ2』
リンチェの出番が少なくて悲しい。

21 『ソウルキッチン』
シェフと料理の話と、兄弟と不動産の話、どっちかに焦点を絞ればいいのに。

22 『それでも、愛してる』
メルギブが鬱病患者を演じるなんて、ジョディ・フォスターはメルギブの繊細な一面を引き出すのかなワクワク、と思ったら、むしろタイプキャストだった。決して嫌いな映画ではないけど、息子の話が中途半端な印象なのが残念。ジェニファー・ローレンス、大物感あり。独特の声で得をしている。

23 『ダウト あるカトリック学校で』
疑いとは「そうでないといいけれど」の姿を借りた「そうであってほしい」の表れ。自分の願望、差別意識、憎しみが他人への疑いに反転するからこそ、疑いが事実だと「信じたい」。校長の罪は深いけど、エイミー・アダムス演じる教師の無垢さの破壊力に震える。

24 『ダークナイト・ライジング』
ノーラン監督の描くバットマン・シリーズのヴィランは、決して異形の者ではないところが、空恐ろしい。正直、ヒースのジョーカーが良すぎた感はあるので、今回はあくまで3部作の3本目だな、という印象だけれど。

25 『冷たい熱帯魚』
最後の吹越満の振り切れっぷりはすごいけど、話としては蛇足だと思うし、冗長な気がしてならない。社本の娘が村田の系譜だったと結論づけるのも、それまでの娘の描写が表面的で説得力がないし。「社本くん、ちょっと痛い」に、笑いながらもぞっとする(前半、シャモトくんじゃなくてヒサモトくんかと思い込んでた)。久々に強烈なバイオレンス映画を観て、おなかいっぱい。

26 『ハナミズキ』
高校生からキャリアウーマンまで、ガッキーが意外と無理なく演じていることに感嘆。生田くんは、その意味では、最初から最後まで若々しすぎるかな。

27 『テルマ&ルイーズ』
2人はいつの時点から覚悟を決めていたんだろう。自分たちが愚かだということをいつの時点で受け入れたのだろう。直接的にはもちろん、あの朝日の場面だけれど、本当はもっと早くだったのかも。女の友情は案外固い。若い頃のマイケル・マドセン、ジョン・キューザックに似てる。

28 『ディアハンター』
ちゃんと観たことなかったけど、「デニーロがイッちゃう話」だと思い込んでた(多分『タクシードライバー』に引きずられてる)。決して悪い意味でなく冗長な作品。時代という面でも、当時の監督や役者のキャリアという面でも、おそらく今では撮れない作品だと思う。

29 『カイジ2』
パチンコ台をどうにかするか、という部分は早々に終わって、あとはいかに金を突っ込むか、それだけになってしまうので、ざわざわ感には欠ける。

30 『デビル』
ポアロ最後の事件のシナリオをシャマラン監督が描けばこういう作品になる、という感じかしらね。欲を言えば、「悪魔はこの人」と気づけるヒントをこっそり出しておいてほしかった。エレベーターに乗るのが怖くなる効果はある。

31 『トゥー・ラバーズ』
嫌いじゃないけど陰気な映画。主演2人はもともと心に陰を抱く人間を描くのが巧いけど、本当に自他を苦しめるのは躁の部分だ。似た者同士が惹かれるのは、自己愛のなせるわざ。その裏にぬぐいがたい自己否定があるのだから、2人が長続きするわけがない。それにしてもホアキンもグウィネスもいい役者すぎて、見てて本気で腹立たしい。

32 『ドリアン・グレイ』
B級ホラーぎりぎりだけど、怖さのエッセンスは巧くまとまってる。耽美と退廃の表現もなかなかよろしい。コリン・ファースのあんなワルい顔、初めて見た!前半は、いつものコリンに脂1枚コーティングされてるし、後半は水分抜けて枯れてる、あの変幻自在こそ不思議な肖像だ。

33 『黄金を抱いて翔べ』
行き詰った人生を捨てる最後の希望が強盗なのは皮肉だけれど、胸に迫る説得力がある。紙幣のようなインチキではなく、手応えのある黄金でなければいけないのだ。浅野忠信、ともすれば演技が下手と誤解させそうでいて、実はそうではないとはっきりわかる凄みのある存在感。

34 『デンデラ』
自分が役者だったら年齢を重ねてぜひ出たい、と思わせる映画。熊が明らかに着ぐるみなのがむしろ素晴らしい。CGで洗練させない判断は慧眼だ。中心の女優たちが美しく声が明瞭すぎるのが難となってしまうし、あちこち見せ方が不器用な気もするけど、押し切る力をもった作品。

35 『トゥルー・クライム』
イーストウッド、女たらし役が似合わない気がするのは、買いかぶりかしら。おそらくは原作を大事にしすぎて盛り込み過ぎの感がある一方で、誤った判決に対する糾弾が足りず溜飲をさげきれない思いもするけれど、時間ぎりぎりの緊張感にはついつい引き込まれる。

36 『おくりびと』
主人公にすんなり感情移入させるので、むしろこの職業がさげすまれるのが意外に思えてしまうけれど、本当に伝えたいのは尊いかそうでないかの対比ではない。「門」が命の循環である、そのことを示したラストはとても自然でよかった。そして庄内の平原が美しい。

37 『たそがれ清兵衛』
もう少し主人公2人の心の通い合いを観たかった気がするけど、きっとそれを抑えるのに成功しているからこそ、そう思わせるんだろう。山のふもとの平野の風景って、独特の荒涼さと「見守られ感」がある。

38 『アルゴ』
そもそもアメリカが悪いんじゃないか、というのが前半ではちゃんと描けているのに、さっぱり忘れた感じのエンディングになっているのは、あまりに惜しい。でもベン・アフレックがこれだけきちっと作品をまとめて抑えた演技で完成させている点は、彼のキャリアとして高く評価したい。

39 『トスカーナの休日』
物書きの女が男に捨てられて家を失って、古い館を衝動買いしてリノベして人生をやり直して、ってどこかで聞いたような物語。執着を捨てて新しい容れ物を作ろうとする中で、いや、きっとその過程を経るからこそ主人公の願い事は形を変えて全て叶うのだ。きっと私も。

40 『28 days』
『17歳のカルテ』を、17歳を過ぎてもこじらすと、リカバリは結構難しい。まともではないことを受け入れるのがまともへの第1歩、っていうのは、言うほど簡単じゃない。サンドラ・ブロックが好演。字幕翻訳が全体的に私の感覚と大きくズレていて、気になって仕方なかったけど。

41 『扉を叩く人』
主人公が長いこと恐れ逃げていたのは怒りの発露なのだと思う。怒ってしまえば、そのあとに来るのは失望だから、怒りたくないのだ。唯々諾々と落胆に身を任せていたほうが楽。ラスト、地下鉄で彼が叩く音楽には怒りが満ちていた。観終わった後の印象が『キャバレー』を思い出させて、胸のすかっとする映画的な結末を「予期」していた自分を少し恥じる。

42 『時計仕掛けのオレンジ』
マスカラが乾かないうちにまばたきしちゃったとき、必ず鏡に向かって「時計仕掛けか」とツッこむのだけれど、実は昔に観かけて前半がキツくて放棄した『時計仕掛けのオレンジ』を今回初めて観た。今観ると登場人物全員が、台詞の「用語」はともかく中身は結構まとも。もっとえげつないのを期待してた。

43 『トレインスポッティング』
なるほどダニー・ボイル監督は、疾走させることで閉塞感を、広大さで閉鎖空間を描くことが昔から得意だったのね。ユアン、のちに『スターウォーズ』に出たのは役者としての「堕落」だと感じさせるほどの、ひりひりした刹那感。ご飯時には観たくない映画だけど。

44 『ドライヴ』
期待以上に素晴らしい手抜きのないハードボイルド。敵側数人がキャラかぶっててわかりにくいけれど、最近の作品では珍しく背景説明に余計な言葉を尽くさず、それでいて業と哀しみを惜しみなく伝える。ライアン・ゴスリングの目が優しすぎるところが、おそらくすごくいいキャスティング。

45 『NINE』
こういうきらきらミュージカル大好き。仕事を投げ出して女にうつつぬかす主人公は、痛い目に遭い足りないけど。「若くてエロくて美しい」と、「年齢を重ねて美しい」を、どちら等しく崇拝して魅力的に描いているのがイイ。特にジュディ・ディンチとケイト・ハドソンがすばらしい!

46 『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』
正直言うとドイツ映画は笑いの部分を共有できないことが多いのだけれど、それでもラストシーンはぐっと来る。自分の最後を受け入れられたとき、大事な親友の最後も、すんなりと入ってくるものなのかもしれない。それは、あまり差がないものだから。

47 『バンディッツ』
70・80年代アメリカのミュージックシーンに通じるカッコよさ。やや整理しきれず、描きたいビジュアルと音楽ありきで進めてる感もあるけど、4人のキャラが繊細に描きわけられている。最後、やっぱり『テルマ&ルイーズ』なのかな。

48 『二十日鼠と人間』
ジャックはレニーといるからしっかりした男に見えるけど、本当は彼だって世界を知らない田舎者で、まだ若すぎて、自分の幸せを優先したくて、心のどこかでレニーを排除したい気もあった…という話だと私は思うんだけど、それにしてはゲイリー・シニーズの顔は思慮深すぎる。ニューヨークで犯罪捜査してそう。

49 『薔薇の名前』
翻訳者が殺される話、『薔薇の名前』を観た。テクストの内と外がメタ的に重層構造をなし、シニフィアンとシニフィエが入れ替わるような、あの独特な読書体験はやはり映像では味わえない。でも推理サスペンスとしては十二分に魅力的。自分が読めないから死すべき者に読ませる、その愛憎たるや。

50 『ワイルドスピード メガマックス』
基本的にスピードバカ映画だけど、風を切る疾走感と重量感を一度に表現したのは斬新で素晴らしいと思った。暴走アニキのヤレヤレ顔にはついぐっときちゃうし。
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by yumi_in_the_rye | 2013-12-31 15:24 | 観た映画 | Comments(0)
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