DVDで 『マイ・ブラザー』 を観た。
同名の映画は何本かあるけれど、ナタリー・ポートマンとジェイク・ギレンホールとトビー・マグワイア主演の2009年アメリカ製作版。 というか、主人公がスパイダーマンだということを忘れていて、しばらく気づかなかった。 それほどの役者ぶりに度肝を抜かれた、ということなんだけど。
この映画、色々と不満がある。 主人公がアフガニスタンで捕虜になって地獄を見ているあいだ、家族は彼が死んだと知らされ、悲しみの中で主人公の妻と弟が少しだけ心を通わせ、互いの痛みを乗り越えようとしていたところへ兄が帰ってきて・・・というストーリー自体は、描きようによってはかなり陳腐な作品になりかねない題材だ。 特に、製作側の自覚の有無にかかわらず、アメリカ人がこのテーマを描けば欺瞞の匂いが鼻につく作品になりかねない危険性がある。
その点、この 『マイ・ブラザー』 はとても良かった。 丁寧に、けれどいい意味で淡々と登場人物をとらえている。
いい作品だ。 それこそが不満に思えて仕方がない。 もっともっと悲惨に、もっともっと救いがたく、えぐくて残酷にできたはずじゃないのか。 主人公をとらえるアフガニスタン側が、単なる敵、単なる 「不気味なもの」 として表現されているのも不満だし、主人公を追い詰める恐怖が充分に描ききれているとは思えない。 ナタリー・ポートマンが演じる妻は良い妻すぎて、弟や友人に対する屈折した思いとか、耐えがたいさみしさが別に感情にすりかわりそうな危うさを感じさせない。 弟 (ギレンホール) と父 (サム・シェパード) の微妙な緊張関係だって、もっと根深く陰湿に表現できたはずじゃないのか。
絶望の描き方が足りない、と私は思う。 最後の台詞も、まるで打開への一歩、希望と安堵の一言のように見えてしまう。
・・・で、そこまで色々とケチをつけながらも、息を呑んだのはやはりトビー・マグワイアの演技の素晴らしさ。 特に帰還後、今にも破裂しそうなものを内側で押さえつけている、その恐怖 (彼自身の、そして彼が周囲に与える恐怖) をありありと伝えてくる。 そして、彼はもともと良く言えば繊細で、悪く言えば衝突を避けて抱え込む性質があったこともわかる。 だからこそ自分が変わってしまったのかどうか、自分でも判断がつかないでいることがわかる。
あの兄弟役2人ではジェイク・ギレンホールのほうが芸達者じゃないかと思っていたんだけど、この作品に限って言えば、確実にトビーのほうに軍配があがる。
そして子役が本当にうまい。 仲の良い姉妹ではあるのだけれど、そこにはかすかな嫉妬心もあって。 父の不在の意味を本当に理解してはいないけれど、やはり寂しさはあって、その寂しさを自分に向けられる愛情不足に対する不満として感じていて。
何より絶妙なのは、少女特有の恋心を抱いていた叔父 (ジェイク・ギレンホール演じる「弟」) がよその女を連れてきたとき、姉が見せる嫉妬と怒り。 むしろあの子を主人公にして別の作品に仕立てても良かったんじゃないか、と思うくらい。
その他の不満を帳消しにできるくらい、私にとっては彼らの演技が素晴らしく感じられた。
観られてよかった。 勧めてくださってありがとうございました。
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1/25の作業記録
案件A:5枚訳す。
案件B:あちこちで私の存在を思い出したくださったようで、怒涛のリーディング祭り開始。
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